子どもの心をつくっている材料を見直すことから

たいていの親は「育てにくい子」の特徴を、もって生まれた性格や気質のせいだと考えてしまいます。

 

泣く子ども

そのため子どもの問題行動に対して、しつけで改善しようとして厳しく叱りすぎたり、逆に放置してしまうようになるかもしれません。しかし、そのような対応は子ども自身を問題行動に執着させることにつながり、ますますひどくなるケースもあるようです。

 

いろいろ工夫しても上手くいかないときには、子どもの育てにくさの背景に、もっと本質的な要因があるのではないかと考えてみて下さい。

 

例えば、必要な材木が足りていないのに家を建てようとするのは無理な話ですよね。材料が十分そろっていれば家の設計を変更することさえ可能ですが、そもそも材料が足りていないならいくら努力したところで理想の家が建つことはありません。

 

同じように、子どもがなかなか変わらないように思えるなら、そもそも変化するための材料が足りないのかもしれません。

 

子どもが問題行動を起こすのは、それにつながる物事のとらえ方や感じ方、つまり「心」の状態と関係があります。

 

では、そのような「心」を作り出している材料自体に問題があるとしたら、まず材料の見直しから始めるべきではないでしょうか。

 

「心をつくる材料?そんなものがあるの?」と思われるかもしれません。

 

最新の脳科学によって、わたしたちの心や感情の動きは脳内の神経伝達物質によって変化することが分かってきました。

 

ドーパミンやセロトニンなどの神経伝達物質の名称をお聞きになったことがあるかもしれません。これらの物質の分泌によって、人間は意欲がわいたり、幸せ感を感じたり、不安になったり、怒りやすくなったりと様々に感情を変化させます。

 

では、こうした心の状態に深くかかわっている神経伝達物質はどこから生まれてくるのでしょうか?

 

それは主に食べ物から摂取する栄養です。

 

ですから、子どもたちが食べる食物は、単に子どもの身体をつくっているだけでなく、心をもつくっているのです。

 

このようなことに注目すると、子どもの問題行動を改善するカギが見えてきます。

 

つまり、食べ物(栄養)を変えることで、子どもの「心」を変化させ、それによって「育てにくい子」の特性を減らしていくというアプローチが有効かもしれないということです。

 

でも、多くのご家庭では、きちんと三食、栄養のありそうなものを子どもに食べさせているのではないでしょうか?ですから、栄養に問題があるなどとは、とても受け入れられないことかもしれません。

 

実は、ここに大きな落とし穴があるのです。

 

食卓に潜む栄養摂取の落とし穴

現代では利益を優先する食品企業によって、栄養がありそうに見えながらほとんど栄養価のない食品が広く流通しているからです。

 

その結果、何が起こっているかというと、カロリーはたっぷりとれているのに栄養失調に陥っている子どもが増えているのです。

 

では、食卓から栄養を奪っている要因の主な3つのものについて少し詳しく考えてみましょう。

 

ますます増加する加工食品

ファミレスやコンビニ弁当はもちろんのこと、家庭で食べる料理でも調理加工済みの食品を食べる割合がますます増加しています。これらの加工食品は見た目は栄養価の高い食材が使われているように見えますが、実質は水煮されたり栄養を台無しにする食品添加物が加えられたりしてカス同然になっているものが少なくありません。

 

栄養価の低い野菜の流通

一昔前の野菜と比較すると、現在流通する野菜はビタミン・ミネラルの量が何倍も低いそうです。化学肥料の度重なる使用によって土自体が偏ったミネラルバランスになってしまっているからです。また人為的に野菜の期間を短くしたことによって、十分な光合成が行えず、結果としてビタミン量が少ない野菜ができてしまっているのです。人参では50年前のものと比べると、60%から80%もビタミン量が減少しているといわれています。

 

砂糖の摂取量の増加

砂糖の摂取は栄養と深く関係しています。砂糖はマイナスの栄養であり、せっかく取り入れたビタミンやミネラルを失わせる働きがあるのです。加工食品の多くには砂糖が含まれており、それだけでなく自販機が増えて子どもがジュース飲む機会が多くなったり、コンビニに寄ってお菓子を買う機会も多くなったりと全体として砂糖の摂取量は増加傾向にあります。

 

このようなことから脳への栄養も不足し、それが脳の発達や活動に影響を与えていることは十分に考えられます。

 

実際に、栄養に気をつけて食事を改善することで、子どもの困った特性が大きく改善したという例が多く報告されています。

 

脳を変える栄養素ビタミン・ミネラル・DHA

子どもの脳の栄養不足を解消するためには、まず脳が必要とする栄養素を知り、次にそれらを毎日の生活の中で意識して多く摂取させることです。

 

では、神経伝達物質をつくりだすのに必要な栄養素にはどのようなものがあるのでしょうか?

 

大きく分けると、ビタミン・ミネラル・DHA(オメガ3脂肪酸)の3つです。

 

それぞれについて少し詳しく考えていきましょう。

 

ビタミン

ビタミンの中でも神経伝達物質に関して重要な役割をもつのが、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンCです。

 

ナイアシン・・・ビタミンB3とも呼ばれ、ギャバ・セロトニン・ドーパミン・ノルアドレナリンといった神経伝達物質の生成に関係しています。不足すると、うつ状態や神経過敏、多動などの症状につながります。肉類のレバー、魚介類、たらこやいくらに多く含まれます。玄米、大豆食品に多く含まれています。

 

ビタミンB6・・・ナイアシンと共にギャバやドーパミン、セロトニンといった精神安定に不可欠な脳内物質を生成します。また睡眠をコントロールするメラトニンもつくっており、不足すると睡眠障害につながりやすくなります。ストレスを感じやすい子はビタミンB6を大量に消費しやすい傾向があります。魚介類や肉類のレバー、豆類やイモ類に多く含まれます。

 

ビタミンB12・・・アドレナリンやメラトニンなどの脳内ホルモンの生成に関係しています。脳の血流を良くし、脳の血管や神経を再生・修復する働きがあります。肉類のレバー、魚介類、たらこやいくらに多く含まれます。

 

ビタミンC・・・ドーパミンやノルアドレナリンをつくるのに必要な栄養素で、ストレスに対抗する働きがあります。ピーマン・パセリ・キャベツなどの野菜やレモン・柿・キウィ・イチゴなどの果物に多く含まれます。

 

ミネラル

 

ミネラルでは、鉄・カルシウム・マグネシウム・亜鉛が多く必要となります。

 

・・・ドーパミンやノルアドレナリンの生成にかかわっています。不足するとストレスへの抵抗力が低下し、興奮して怒りっぽくなったり、物忘れや注意力散漫、睡眠障害や抑うつ状態につながります。肉類や魚介類、海藻類、大豆食品、葉物野菜などに多く含まれます。

 

カルシウム・・・カルシウムは脳の情報伝達のスイッチのような役割を果たします。不足すると情報伝達が混乱し、イライラしやすくなったり、神経過敏になって感情のコントロールも効きにくくなります。睡眠障害や記憶障害とも関係します。カルシウムは乳製品、魚介類、海藻類、豆類、葉物野菜などに多く含まれます。

 

マグネシウム・・・マグネシウムはカルシウムと共に精神安定作用があり、不足することで興奮しやすくなったり、神経過敏につながります。他にも睡眠障害や抑うつ感、多動、集中力低下に関係します。豆類、種実類、藻類、葉物野菜などに多く含まれます。

 

亜鉛・・・脳内の発育や刺激伝達に関係しているミネラルで、不足すると知能や学習能力の低下、精神障害につながります。さらに自閉傾向や意欲の低下、味覚異常も亜鉛不足が原因となっている場合があります。亜鉛が多い食品としては、肉類、魚介類、豆類、種実類などがあります。

 

DHA(オメガ3脂肪酸)

 

DHAはオメガ3脂肪酸と呼ばれる不飽和脂肪酸の一つですが、オメガ3脂肪酸には他にもEPAやαリノレン酸などがあります。

 

中でも一般によく知られているのがDHAで、青魚に多く含まれています。

 

DHAやEPAは神経細胞の膜となる成分で脳神経細胞のシナプスを作る材料ともるなります。また精神安定のカギとなるセロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質が正常に働くためにも肝要な役割を果たしている栄養素です。

 

まとめ

育てにくい子の特性は、脳の栄養不足からきていることが少なくありません。脳の発達や活動に必要な栄養が足りていないなら、どんなに言葉で言って聞かせても行動を変化させることは困難です。

 

そこで、子どもの「困った」行動を改善したい場合には、まずは脳の栄養として欠かせないビタミンやミネラルやDHAをたっぷり補充することから始めましょう。

 

それらをしっかりと摂取するだけで子どもの言動が変化することは珍しくありませんし、様々なしつけやトレーニングも脳神経を支える材料が足りてこそ効果を発揮します。

 

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